虫歯等に対する口腔除菌に役立つ粒子を産総研が開発

口腔内における殺菌の実現に有用な合成粒子

平成28年11月18日、パルスレーザー光との組み合わせにより口腔内の除菌に役立つ合成粒子、銀ナノ粒子を内包するリン酸カルシウムサブマイクロメートルを開発したと、国立研究開発法人産業技術総合研究所が発表した。

迅速で簡便な複合粒子の合成を目指して

多々ある歯の喪失要因として、虫歯や歯周病が挙げられる。また口腔内において虫歯等は、歯の間や歯と歯肉の間といった、入り組んだ箇所にて発生しやすい。このことから、これまでも銀ナノ粒子を含んだリン酸カルシウムの細粒子の利用による、除菌や再石灰化促進等の口腔内環境の改善及び保全が望まれていた。

しかし、こうした複合的な粒子の合成には複雑な過程や時間が必要となるため、その簡便化等が期待されていたのだ。

そうした中、産業技術総合研究所ではこれまでもパルスレーザー光の照射による、酸化物もしくは金属のサブマイクロメートル球状粒子の合成、また磁性酸化鉄を内に含むリン酸カルシウムの合成について、簡便で迅速に行う技術を開発していた。

その上で、今回これら2つの技術をもとにすることで抗菌作用の持つ銀ナノ粒子を包含した、リン酸カルシウムサブマイクロメートル粒子の開発を行ったのである。

口腔細菌の増殖抑制作用を確認

当該複合粒子の合成は、原料となるリンやカルシウムまた銀のイオン溶液に、きわめて弱いパルスレーザー光を数十分照射することで行う。また、これにより得られた粒子を口腔細菌の混ぜられた液と合わせたところ、粒子が菌の酸によって融解しそれら菌の増殖が抑えられたのである。

こうしたことから当該合成粒子は、菌の増殖抑制及び歯の構成主成分のカルシウム及びリン酸イオンを供給源となり、ひいては歯の脱灰防止と再石灰化の促進効果を持つと言えるのだ。

そして、結果的に虫歯や歯周病の予防等へと繋がり得るのである。

▼外部リンク

銀-リン酸カルシウム複合粒子の合成技術を開発
http://www.aist.go.jp/